会社の携帯電話を効率的に運用するためには、連絡先の管理が非常に重要です。このプロセスにおいて、社員個々の連絡先、会社全体の連絡先、または部署ごとに分類された連絡先をどのように共有し、効率的に管理するかは大きな課題となります。
企業では、スマホ用のアドレス帳の管理をするアプリに1アカウント数百円の費用を払い、連絡先を共有するアプリを利用している会社も多いと思います。
しかし、経費削減はすべての企業にとって重要な目標であり、可能な限りコストを抑えたいと考えるのは当然のことです。
特に現在の経済状況下では、経費を削減しようとする企業の意向が強くなっています。
そこで、今回はSynology NASを活用し、費用を抑えつつ効率的な連絡先管理が可能な「CardDAV Server」というアプリケーションをご紹介します。このアプリケーションを利用すれば、低コストで社内の連絡先を簡単かつ効率的に管理することが可能になります。
Table of Contents
「CardDav Server」とは
CardDav Serverとは Synology NAS上でアドレス帳を管理するための効果的なツールです。この機能は、中小企業や大企業にとって非常に価値があり、特に経済的な観点から見ると、連絡先の管理を効率的かつコスト効果的に行うための理想的なソリューションを提供します。
CardDAV Serverは、ユーザーが自分の連絡先を一箇所に集約し、それらを安全に保存、同期、共有することを可能にします。このシステムは、社内の異なる部署やチーム間での情報共有を容易にし、必要な連絡先を迅速に検索することができます。また、連絡先情報を最新の状態に保つための自動同期機能も備えています。
さらに、CardDAV Serverは、セキュリティ面においても優れています。すべてのデータはSynology NASサーバー上で管理され、外部のクラウドサービスに依存することなく、企業内で完全なコントロールが可能です。これにより、重要な連絡先情報の漏洩リスクを最小限に抑えることができます。
また、これらの機能はシンプルで誰にでも使いやすいインターフェースを提供しており、導入と運用が容易です。ITスキルが限られたユーザーでも簡単に操作でき、企業全体での導入がスムーズに行われます。
「CardDav Server」の設定方法
①「DSM」にログインをして「パッケージセンター」をクリックします。
②「CardDAV Server」の項目で「インストール」をクリックします。
③「CardDAV Server」を動かすために必要なモジュールをインストールします。
環境によっては、下の画面で表示されている「Pytho Moduleをインストール」が表示されていなかったり、他の項目が表示される場合がありますが「CardDav Serve」に必須のパッケージなのでインストールします。(インストールには数分かかります。)
④インストールが完了したら 「CardDav Serve」 で管理するアドレス帳のアカウントを作成します。DSMに戻り「コントロールパネル」を開きます。
⑤「ユーザー」をクリックします。
⑥「作成」ボタンをクリックします。
⑦名前にaddress(管理しやすい名前を自由に設定してください)を入力してパスワードを設定します。「次へ」をクリックします。
⑧「グループの結合」はそのまま「次へ」をクリックします。
⑨「共有フォルダの権限を割り当てる」もそのままにして「次へ」をクリックします。
⑩「アプリケーションの割り当て」もそのまま「次へ」をクリックします。
⑪「ユーザーの速度制限設定」もそのまま「次へ」をクリックします。
⑫「設定の確認」で「適用」で初期設定の完了です。
⑫次に「CardDav Server」のアドレス帳を開いて1件、連絡先を登録してみます。
「メニューボタン」をクリックします。
⑬「CardDAV Server」をクリックします。
⑭「アドレス帳をクリックします」
⑮先ほど作成したユーザー名(address)を選択して「編集」ボタンをクリックします。
⑯アドレスを追加するときは「追加」をクリックします。
編集するときは「編集」、削除するときは「削除」ボタンをクリックします。アドレス帳をExcelなどで管理している場合は、「インポート」を使用して一気に登録することも可能です。
⑰連絡先を一件、追加します。
「名前」、「肩書」、「会社名」、「Eメール」、「電話番号」、「住所」、等を入力したら「OK」をクリックします。
⑱内線番号やメールなどを複数登録したい場合は「+」をクリックすると項目が増やせます。
⑲入力完了です。
スマホの連絡先の設定方法
①ここからはさきほど設定した「CardDav Server」をiPhoneから参照できるように設定します。
(似たような手順でAndroidも設定できます。)
②「設定」画面を下に進み「連絡先」アイコンをタップします。
③「アカウントを追加…」をタップします。
④「その他」をタップします。
⑤連絡先の項目の「CardDAVアカウントを追加」をタップします。
⑥Synology NASのIPアドレスを「サーバー」に入力して「コントローラーパネル」で追加した「ユーザー名」、「パスワード」を入力して「次へ」をタップします。
※IPアドレスがわからない方はアプリで「Synology Assistant」を起動するとIPアドレスを確認できます。
⑦「続ける」をタップして連絡先の設定は完了です。
⑧確認のためiPhoneのホーム画面に戻り「電話」アイコンをタップして「連絡先」を確認します。
Synology NASで連絡先の管理まとめ
今回、共有アドレス帳「address」を一つ作り共有する形を作りましたが、アドレス帳は全体で管理したいものや部署で管理したいものもあると思います。
管理を分けたい場合は、その分のユーザー名を作成します。
全体で管理したいアドレス 「address」 社員のアドレスなど部署ごとに管理したいアドレス「Department」 業者や顧客のアドレスなど個人で管理したいアドレスはiPhoneの連絡先に直接入れる形とかルールを作成するとかするといいでしょう。
以上が連絡先をSynology NASで一元管理する方法になります。もし、手元にファイルサーバーとして使っている場合は無料で使えますので、検討して見てはいかがでしょうか。