DX推進 デジタルとアナログの融合したビジネスモデルを目指し

dx

パンデミックの影響で加速したデジタル変革が、私たちの世界、国、そして社会を、これまでにない速度で変化しています。

技術の進化は止まらず、私たちはこの新しい時代の波に乗るか、それとも取り残されるかの分岐点に立たされていると言えるでしょう。

年齢を重ねるほど、ITやデジタルへの適応は難しく感じられるかもしれません。しかし、デジタル化が進む世界で生き残るためには、これらの技術を受け入れ、理解することが不可欠です。

デジタル化がどれだけ進んでも人と会話しない世の中になることはないと思います。

日本はモノづくりで成長した国です。

現場での即興的な思考、三現主義、モノづくりの心といった要素は、デジタル化では完全には置き換えられません。

デジタルの効率性とアナログの感覚を組み合わせることで、新しいビジネスモデルと企業変革が生まれるでしょう。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の可能性について、私の考えを共有していきます。

DXとは

デジタルトランスフォーメーション、一般的に「DX」として知られていますが、この略称は、英語圏でよく見られる「Trans」を「X」として省略する文化から生まれました。

このため、「Digital Xformation」という表現が「DX」として頭文字を取って使われるようになりました。

DXという概念は、企業や組織がデジタル技術を活用して業務プロセス、企業文化、顧客体験を根本的に変革することを指します。

この変革は、単に新しいテクノロジーを導入すること以上の意味を持ち、ビジネスモデルの再構築、組織構造の最適化、そして市場での競争力を高めるための戦略的取り組みを含みます。

近年、DXは世界中で注目を集めています。テレビ、新聞、ウェブメディアなど、さまざまなメディアで頻繁に取り上げられ、グーグルトレンドにおいても人気度が急上昇しています。

これは、デジタル技術の急速な進化と、パンデミックによって加速されたデジタル依存の増加が背景にあります。

DXの言葉とトレンド

DXは経済産業省が推進している

国内では、DXの推進を経済産業省が行っています。

2018年に同省より発行された、デジタルトランスフォーメーションの状況が書かれたレポート「DXの本格展開 2025年の崖」の中に2025年には、21年以上利用しているITシステムが、国内で60%以上超えることが予測されています。

IT人材も43万が不足されると言われています。その中で、保守運用の担当者が減ることで、サイバーセキュリティの事故やシステムトラブル、データ損失などのリスクの高まりにより、古いシステムを維持するためにIT予算のほとんどがメンテナンスの費用に取られると予測されています。

DX 経済産業省の推進

DX進めないと毎年12兆円の経済損失

もし、DXが国内で進まなければ、2025年以降、毎年12兆円の経済損失が生じる可能性があるとレポートの中で言及されています。

そして、内閣府の予測では2025年の日本のGDPは、570兆円と言われ、12兆円の経済損失の割合は2%に当たります。

現在の日本のGDPは世界で3位、このままDXを進めなければ、GDPが4位のドイツや5位のイギリスに抜かれるのも時間の問題です。

経済産業省レポート

日本のGDP推移

次のグラフは、ブルーの棒グラフが日本の一人当たりのGDP推移です。

日本一人当たりのGDP

若干波はありますが、ほぼ横ばいです。

オレンジの折れ線グラフが国際順位の状況で、日本は2000年の2位から2018年26位まで後退しています。

その背景には、日本のデジタル化の遅れとビジネスモデルの変革が進んでいないことが、影響している可能性があります。

DXの概念

DX概念は、2004年スウェーデンのウメオ大学教授であるエリック・ストルターマン氏が提唱した考えです。

「ITの浸透が、人々の生活にあらゆる面でより良い方向に変化させる。」と言う意味になります。

たしかにアップル・グーグル・マイクロソフト・amazonなどが浸透させた技術は、私たちの日々の生活からビジネスまで、より良い方向に変化したと言えるでしょう。

DXの概念

DX 日本の定義

そして、冒頭でも話しましたがデジタルトランスフォーメーションは、国内では経済産業省が推進していて、DXを具体的に再定義しています。

その内容は「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」このことが国の定義になっています。

簡単に一言でいうとDXとは「データとデジタル技術を利用したビジネスモデルの変革」になります。

DXとは、デジタルを使って仕事を変える、そんなレベルではありません。事業構造・業務プロセスを0ベースで見直し、新しいものに変えていくことです。

DXとは

DXと産業革命の関係

デジタル化の重要性について話をしてきましたが、次にビジネスモデルの変革について話をするとやはり、切っても切れない関係があるのが産業革命です。

第1産業革命によって、軽工業中心に機械化が進み生産性が70倍になり、手作業していた人の多くは職を失いました。

その代わり、生産性向上により物が安くなり、服など、今まで1枚しか持てなかった人は2枚、3枚持てるようになったことにより服に関わる仕事や機械を整備する仕事などが増えました。

産業革命によってビジネスモデルの変革が起きているのです。

同じように第2次産業革命では内燃機関の発達により、今まで馬車などが中心だった移動手段が車に変わりました。

馬の蹄鉄をつくる仕事など馬に関わる仕事がなくなり、代わりに車を修理する仕事、ガソリンを売る仕事など車に関わる仕事が次々と誕生しました。

第3次産業革命では、コンピューターやインターネットが普及。今までは、天然資源を制したものが世界の大富豪でしたが、グーグル・アップル・Facebook・アマゾンを代表するようにインターネットなどを活用できたものが大富豪へと変わっていきました。

産業革命によってビジネスモデルの変革、デジタルトランスフォーメンションが加速していくのです。

折しもいまAI・Iot・ビックデータ・ロボットなどが中心となり第4次産業革命が起きようとしています。

この時代の波に乗れたものこそDXの勝利者になる可能性が高いと思います。

産業革命とは

DXとIT化の違い

なぜ、DX進めなければいけないのか?その重要性の確認ができたと思います。そして、DXを進める上で注意してほしいことがあります。

DX=IT化では、ないという事です。DXとITは別物なのです。

DXとIT化の違いは?DXは組織変革、つまり日々の業務を変革するための手段としてITツールを使います。

IT化は、日々の仕事の生産性を上げることを目的に行います。

両者の違いは効果と範囲でも明確です。

IT化の生産性の効果は、数倍~いっても数百倍です。

その範囲は日々の仕事のみDXの効果はビジネスそのものを変えるため、正直、未知数です。

ただ、DXに成功している企業は5%と言われその5%の企業は、世界的な企業へと躍進している企業もあります。

そして範囲も会社全体に及び・事業運営にかかわります。

皆さん、これでDXをなぜ、会社全体で進めなければいけないのかそして、DX=IT化ではないと言う理由が確認できたと思います。

DX推進の具体例

DX(デジタルトランスフォーメーション)の具体的な事例を挙げる際、Airbnbの成功は世界的にも顕著な例として挙げられます。

この企業は、デジタル技術を駆使して伝統的な宿泊業界に革新をもたらしました。

元々、Airbnbはイベントや長期休暇の際にホテルが満室で予約が取れないという問題に対する解決策として誕生しました。

彼らのビジネスモデルは、利用されていない家や部屋を持つ人々と、費用効果的な宿泊施設を求める旅行者をデジタルプラットフォーム上で結びつけることでした。

このアプローチは、従来の宿泊業界に存在しなかった市場のニーズを満たし、両者に利益をもたらしました。

現在、Airbnbは国内外で著しい成長を遂げています。国内では年間600万人以上が利用し、世界的には5億人を超える利用者がいます。

このプラットフォームの成功は、単に民泊業界を確立しただけでなく、旅行業界全体におけるサービスの提供方法を根本的に変えました。

Airbnbの成功は、デジタル技術がどのようにして従来のビジネスモデルを変革し、新たな市場機会を創出するかを示しています。

また、彼らの事例は、顧客体験の向上、新たな収入源の創出、そして市場における競争力の強化という、DXの目指す主要な成果を体現しています。

さいごに

今後のDXの展開へ

DXはビジネスモデルの変革に踏み込んで進めていくことが特徴です。

変革を行うということは、抵抗勢力との戦いでもあります。

人は変化に対してストレスや不安を多く感じます。

DXはただ単にアナログをデジタル化していくことではありません。

それは単なるIT化でしかありません。アナログのよいところとデジタルのよいところを融合させていくこと、これは人にも言えます。

DXをデジタルが得意な人だけで進めずデジタルが不得意な人とともに企業変革を目指すことにより抵抗勢力もなくなり、企業にとって真のデジタルトランスフォーメーションが生まれるのではないでしょうか。

RPA
助け合いの見える化