RPA(Robotic Process Automation)をあなたの仕事の新戦力へ

RPA

労働スタイルの改善に取り組む企業の間で、RPA(Robotic Process Automation)というIT技術が注目を浴びています。

この技術は、まるで365日休まず、病気知らずで命令に忠実に従い、ミスを犯さない完璧な部下のような役割を果たします。

面倒な仕事やあまり手を付けたくないタスクを誰かに任せたいと思う事ありませんか?

RPAは万能ではありませんが、一度訓練すれば、さまざまなパソコン作業を学び成長するデジタル労働力、つまり「バーチャルな知的労働者」としての可能性を秘めています。

日本の現状

日本の現状図


日本の現在の状況を見ると、深刻な人手不足が目立っています。

この問題は、仕事は豊富にあるにも関わらず、中小企業が続々と廃業や倒産に追い込まれているという深刻な現実をもたらしています。毎年のように増加するこの傾向は、日本経済にとって大きな警鐘です。

政府と企業が一体となって推進している働き方改革は、多様な働き方の実現、高齢者の就労促進、非正規社員と正社員の間の格差是正など、様々な課題に取り組んでいます。しかし、これらの努力にもかかわらず、労働力不足という問題は複雑で根深いものです。

さらに、日本の労働生産性はG7諸国中で最低レベルにあり、1日の平均労働時間も先進国の中で最も長いという現状があります。この低生産性と長時間労働が日本の労働市場の大きな課題となっています。

このような状況の中で、特に問題となっているのが低生産性です。生産性が高ければ、必要な労働力は少なくて済み、労働時間も短縮することが可能です。

そこで注目されるのがRPA(Robotic Process Automation)です。

この技術は、まさに日本が直面している労働の低生産性という問題を解決するための救世主と言えるでしょう。

RPAは単調な作業の自動化を可能にし、労働力不足を補い、効率的な働き方を促進することで、日本の労働市場に新たな息吹をもたらす可能性があります。この技術を活用することで、労働時間の短縮と生産性の向上を実現し、日本経済全体の発展に貢献することが期待されています。

RPAとは

RPA、つまり「ロボティック・プロセス・オートメーション」は、パソコンのデスクトップ操作を自動化するための革新的なツールです。

この技術の目的は、パソコン上でのマウス操作やキーボードを使用したキー入力、さまざまなアプリケーションの起動、アプリケーション間でのコピー&ペースト作業、入力されたテキストのチェックなど、人間が行うさまざまなタスクを自動化することにあります。

RPAの中核は、これらの動作を仮想的なロボットに学習させ、自動で実行させることにより、時間と労力を節約することです。例えば、日々の報告書の作成、データ入力、電子メールの管理などの単純で反復的な作業をRPAに任せることができます。これにより、従業員はより創造的で価値の高い作業に集中することが可能になります。

RPAの利点は、操作が簡単であること、そしてコーディングや高度な技術知識が不要であることです。これにより、非技術者でも容易に自動化プロセスを設計し、実装することができます。この技術によって、企業は生産性の向上、エラーの削減、コストの節約を実現することができるため、多くの業界での導入が進んでいます。RPAは、働き方改革とデジタル変革の重要な要素として、これからもさらに発展していくことが期待されています。

RPAとは

RPAの展開

RPA、またの名をロボティック・プロセス・オートメーション、その進化は目覚ましいものがあります。

まず基本となるのが「RPA1.0」、ここでは定型的な作業を自動化します。

次に進化形の「RPA2.0」では、OCR(光学的文字認識)、IoT(モノのインターネット)、そして簡易なAIを駆使してさらに自動化を進めます。

そして最先端の「RPA3.0」は、高度な意思決定の自動化を目指します。

今回注目するのは、「RPA1.0」、つまり定型作業の自動化です。これを簡単に説明するならば、「手が増える」というイメージです。RPAを効果的に活用することで、仮想的に「手」を4本、5本、6本と増やすことができ、これらの「手」の監督者は作成者自身となります。つまり、この技術をどれだけ上手く活用できるかは、その人次第ということです。

しかし、この「手が増える」という表現を侮ることなかれ。かつて工場に導入されたロボットアームが生産性を飛躍的に向上させたのと同様に、RPAはパソコン作業を効率化し、業務の質を大きく変えることができるのです。RPA1.0は、単なる手作業の効率化を超え、作業プロセスの根本的な改革を可能にします。この革新的なツールを用いることで、企業は時間とコストを削減し、よりクリエイティブで価値の高い業務にリソースを集中させることが可能になるのです。

RPAの展開

RPAのトレンド動向

このRPAですが、グーグルトレンドでも2016年後半から伸びた人気度急上昇して、最近ではある程度落ち着いてきたIT技術です。

RPAトレンド動向

RPAの導入状況

RPAの現在の導入状況を見てみると、年商1,000億円を超える大企業の約半数がこの技術を取り入れています。一方で、中小企業に目を向けると、導入率は約20%程度となっており、導入状況にはかなりの差があります。

中小企業におけるRPA導入の遅れの一因として、導入費用や適切な人材の確保の難しさが挙げられます。特に中小企業においては、費用面や人員面での制約が大企業に比べて大きいため、新しい技術の採用が難しい状況にあります。

しかし、最近では無料で利用できるRPAツールも登場しており、この動向は中小企業にとって大きなチャンスをもたらしています。これにより、以前は費用や技術的なハードルが高くて導入を躊躇していた中小企業も、RPAを手軽に試し、そのメリットを享受できるようになります。無料のRPAツールは、中小企業がデジタル化を推進し、生産性を高める上で重要な役割を果たすでしょう。

今後も、これらの無料ツールの普及に伴い、中小企業におけるRPAの導入はさらに加速し、ビジネスプロセスの効率化という大きな波に乗ることが予想されます。このようにRPAは、企業規模に関わらず、業務効率化のための有力なツールとして注目を集め続けることでしょう。

RPA各導入状況

RPAって何がすごいの?

RPAについて話を進める中で、「RPAって具体的に何がすごいの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。確かに、RPAの技術自体は根本的には新しいものではありません。デスクトップ上の操作を自動化する技術は数十年前から存在しています。

しかし、RPAの革新性は、その技術のアクセシビリティにあります。これまで、業務自動化は主にシステム部門の専門家が行う専門領域でした。特定の技術的スキルや深い知識が必要で、一般の従業員には手が届かない領域でした。

RPAの真価は、この「業務自動化」のハードルを大きく下げたことにあります。RPAツールは直感的でユーザーフレンドリーな設計がされており、特別なプログラミングスキルや専門知識がなくても、誰でも業務の自動化を実現できるようになりました。これにより、従業員は単純作業から解放され、より創造的で意義のある作業に注力することが可能になります。

つまり、RPAの素晴らしさは、その技術自体よりも、業務自動化を民主化し、広範なビジネスユーザーに開放した点にあります。これにより、企業全体の生産性が向上し、従業員の働き方が大きく変わることが期待されています。これは単なる技術革新ではなく、働き方改革の一環としても非常に重要な意義を持っています。

RPAのハードル

RPAが目指すもの

RPAは、業務の自動化に革命をもたらすことを目指しています。

その核心は、従来のシステム部門が担当するプログラムベースの自動化から一歩進み、直感的な操作で誰でも簡単に構築できる業務自動化ツールを提供することです。

RPAの利点は、業務部門のスタッフ自身が、特別な技術知識やプログラミングスキルなしに、自動化プロセスの一部を構築できることにあります。確かに、RPAを使って業務の全てを一から作り上げるのは難しいかもしれません。しかし、業務の特定の部分を自動化し、より複雑な部分についてはシステム部門と協力しながら進めることが可能です。さらに、微調整が必要になった際には、業務部門のスタッフが自ら手を加えることができます。

RPAの真髄は、仕事の変化に迅速に対応し、開発プロセスにおいてスピードを重視することにあります。これにより、企業は市場の変化や業務のニーズに素早く対応することができ、柔軟かつ効率的な作業環境を実現することが可能になります。このようにRPAは、単なる自動化ツールを超え、ビジネスプロセスのスピードと効率を大幅に向上させる重要な役割を果たすことでしょう。

RPA現場でカスタマイズ

プログラムベースの自動化とRPAの自動化の違い

プログラムベースの自動化とRPAによる自動化の違いについて詳しく解説します。プログラムベースで作成された自動化は、しばしば「ブラックボックス」と表現されます。これは、その処理過程が外からは不透明で、どのような手順でタスクが実行されているのかが明確にわからないことを意味します。結果的に、プログラムがいつの間にか仕事を完了している、という印象を受けることが多いです。

一方、RPAによる自動化は、この点で大きく異なります。RPAは基本的にマウスやキーボードの動きを自動化するため、その操作は視覚的に追跡することが可能です。つまり、RPAによる自動化のプロセスは全て可視化され、パソコンが自動で操作されている様子を目で見ることができます。これは、まるでパソコンが自己操作しているかのような、ある種の「乗っ取られた感じ」を生み出します。

この可視性はRPAの大きな長所の一つです。何か問題が発生した際に、自動化されたプロセスのどこに問題があるのかを容易に特定し、修正を加えることができます。これにより、エラーの原因究明と対応が迅速に行えるようになります。

ただし、RPAにも短所はあります。マウスとキーボードを自動化する性質上、操作がプログラムベースの自動化に比べて遅くなる傾向があります。これは、物理的なマウスやキーボード操作をエミュレートするため、プログラムベースの自動化よりも時間がかかるからです。しかし、この短所を差し引いても、RPAの可視性やアクセシビリティは多くのビジネスシーンで高く評価できます。

RPAとプログラムの違い

人とRPAが協業する働き方へ

パソコンを使用した業務において、RPA(仮想ロボット)の活用は業務効率化の大きな鍵となります。特にデータ入力、伝票作成、請求書作成など、一定のパターンを持つ定型作業にRPAを導入することで、これらの作業を効率的に自動化することが可能です。

RPAによってこれらの反復的かつルーティンなタスクを自動化することで、従業員はよりクリエイティブで戦略的な非定型業務に集中することができます。これには経営戦略の策定、事業計画の立案、新製品の企画・開発、対外的な交渉などが含まれます。

RPAを導入することで、定型業務の自動化により生じる時間を、より付加価値の高い業務に充てることができます。これは、従業員が自身のスキルと創造性を最大限に活かすことを可能にし、組織全体の生産性とイノベーションの促進に貢献するでしょう。

ただし、RPAが定型作業の全てを代行できるわけではありません。

あくまで一部の作業を自動化するツールであり、人間の監督と介入が必要な場合もあります。そのため、従業員はRPAの動作を監督し、必要に応じて調整を行いながら業務を進める役割を担う必要があります。RPAと人間の協働により、より効率的で質の高い業務遂行が実現されるのです。このようなアプローチは、従来の働き方を大きく変革し、新しい労働の形態を作り出すことに寄与します。

RPAとの協業

RPA化のポイントと進め方

仕事をRPA化していくにはポイントがあります。

  • (1) 作業がルール化されていること 
  • (2) 定期的に発生する繰り返し作業
  • (3) 処理に複雑な条件がないこと( 人の判断が入らないこと )

現在、業務マニュアルを作成している仕事があると思いますそういったものは、すぐにでもRPA化がすすめられます。

進め方

RPA化を進める上で大事なことですが、どのような仕事がRPAで行えるのかと考えるとあまり効果が少なく導入自体失敗します。

発想を変えて、今している仕事をRPAで行うのだとすると、どのような手順なら可能になるのか考えて見てください。

RPAで大事なこと

RPA化を進めていくうえで欲張らない

RPA化していく上で大事なことは一つの仕事をすべてRPA化すると難しいことが多いです。

例えばあるAという仕事でWEB上からデータをダウンロードしてEXCELに取り込み加工する作業があるとしたら、一部分のWEBのダウンロード部分だけRPA化していく方が効果もすぐにわかり進めやすいと思います。

一気にやろうとすると不具合があったときに動かない要因を探すのに手間がかかることもあります。

RPA化を進めていく上で

RPAが得意な仕事・取り組みやすい分野①

RPAを進めるにあたり最初に何から進めていけばいいのか悩むことが多いです。簡単なものと言えば、先ほども少し話をしましたがWEB上のデータをダウンロードすることです。

会社の使用しているシステムでクラウドのソフト使っているものはないでしょうか、会計ソフトや名刺管理ソフト、ワードプレス、クラウドのファイルサーバーなど、今の時代だと使っていない企業の方が珍しいと思います。

クラウド上に毎日、毎週、毎月、何かデータを取りに行く、もしくは確認をしていることありませんか、RPAを使って自動でダウンロードすることができ、確認の場合はスクリーンショットを使えば状態をメールで飛ばすこともできます。

最初にRPA化を進めるのにあたり、それぞれが行っているダウンロードすること、確認することをRPAに任せてみましょう。

RPAの作成を初めて行う人も比較的に簡単なロジックで作成できますのでおすすめの分野です。

さいごに

現在、働き方改革の波が押し寄せ、仕事のやり方が大きく変わる転換期に立ち会っています。この変化の中、RPA(Robotic Process Automation)だけでなく、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの革新的な技術が登場しています。

従来の低生産性に基づく長時間労働は、簡単に解決できる問題ではありません。

しかし、効率化を目指す技術の中でもRPAは、その導入と実行が比較的容易であり、大きな改革の一翼を担うものです。

RPAは単純作業の自動化に留まらず、作業プロセスを根本から見直し、効率的かつ効果的な働き方へと導く可能性を秘めています。

この機会に、RPAを活用して仕事の質を向上させ、よりバランスの取れた労働環境を実現することで、働き方そのものを根本から変革してみませんか?

革新的な技術の力を借りて、より生産的で満足度の高い職場を創り出し、新たな労働文化の創造に一石を投じることができるのです。

dx
複合機の写真