KPT法とは?振り返りを仕事に活かす使い方とメリットをわかりやすく解説

kpt フレームワーク
kpt フレームワーク

PTは「Keep(続けたいこと)」「Problem(課題や問題点)」「Try(次に試すこと)」の頭文字を取った振り返り手法です。日本ではトヨタが発祥とされる改善手法から派生し、チームのプロジェクト終了後に「何がうまくいったのか」「何がうまくいかなかったのか」「次に試したいことは何か」を整理するために使われています。1人でもチームでも行うことができ、仕事の効率化や問題の再発防止に役立ちます。

KPTに必要なものと準備方法

KPTを始めるために特別な道具は必要ありません。以下のようなシンプルなツールで十分です。

  • 付箋とペン:各項目を書き出すための付箋とペンを用意します。一人で行う場合はノートやA4用紙でも構いません。
  • ホワイトボードや模造紙:チームで行う場合は、付箋を貼るスペースとしてホワイトボードや大きな紙があると便利です。
  • オンラインツール:リモートワーク中は、オンラインホワイトボード(JamboardやCacooなど)のテンプレートを使うと離れていても共同作業が可能です。

KPTの目的とメリット

KPTを導入する目的は、仕事を「やりっぱなし」にせず、次に活かすための改善サイクルを生み出すことです。具体的なメリットには次のようなものがあります。

  • 良い点を共有し再現する:良かった点(Keep)を可視化することで、チーム内で成功要因を再現しやすくなります。
  • 問題点を早期に発見できる:課題や失敗(Problem)を共有することで、同じ問題の再発を防ぎやすくなります。
  • 新しい挑戦を促す:改善策やアイデア(Try)を自由に出し合うことで、次のプロジェクトに向けた行動計画が生まれます。
  • チームコミュニケーションの向上:全員が意見を出し合う場を設けることで、新しいメンバーも発言しやすくなり、チーム全体の風通しが良くなります。
  • 継続的な改善につながる:PDCAサイクルの「Check(評価)」と「Act(改善)」を強化する役割を果たし、継続的な改善文化を醸成します。PDCAは計画・実行・評価・改善の4段階で構成される管理手法で、ビジネスプロセスを継続的に改善するために用いられます。KPTはそのうち評価と改善のステップを分かりやすく実践するフレームワークです。

KPTの具体的な手順

KPTは以下のステップで進めます。時間の目安として、チームの場合は30〜60分程度を確保すると良いでしょう。

KPT図形

Step 1:Keep(続けたいこと)

プロジェクトや仕事でうまくいったこと、喜ばれたことなどを全員で書き出します。「これが普通だから」と思っていることでも、他の人には大きな価値があるかもしれません。良い習慣や成功事例をチーム全体に広げるための重要なステップです。

KPT KEEP良かったこと

Step 2:Problem(課題・問題点)

次に、うまくいかなかったことや課題だと感じたことを出し合います。個人攻撃にならないように「誰が」ではなく「何が」問題なのかに焦点を当てます。出てきた課題はまとめて分類し、必要であれば担当者を決めて調査や改善策の検討をお願いしましょう。

KPT Problem 悪かったこと

Step 3:Try(次に試すこと)

Problemで挙がった課題や、KeepやProblemの議論を通じて生まれたアイデアから「次に試してみたいこと」を書き出します。ここでは自由な発想が大切です。新しいやり方やツールの導入など、どんな提案でも歓迎し、チームで実行する項目を決めます。

KPT Try 次に挑戦すること

Step 4:フォローアップ

KPTは一度やって終わりではなく、次のミーティングなどでTryに書いた内容を確認し、実際に試した結果を共有します。継続して行う場合は付箋の色を変えたり、オンラインツールのレーンを分けるなどして、改善の履歴を追いやすくすると良いでしょう。

プロセスの例(Project Sprintの手順を参考)

  1. 全員がKeepとProblemを付箋に書きます。
  2. 書き終えたら内容を説明し、ボードに貼って共有します。
  3. 内容が似ている付箋をまとめてテーマごとに整理します。
  4. 全員でTryを考え、付箋に書きます。
  5. 書き終えたらTryの内容を説明し、ボードに貼って共有します。
  6. 最後に、実際に行うTryを決めます。

KPTとPDCAの違いと組み合わせ方

PDCAサイクルは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Act(改善)」の4段階で構成される継続的改善の手法です。KPTはその中でもCheckとActの部分に特化した振り返り方法であり、PDCAと組み合わせることで、計画・実行・評価・改善の流れがよりスムーズになります。例えば、PlanとDoではプロジェクト目標や具体的な施策を決め、KPTでCheck・Actを行って次のPlanに活かす、というサイクルを繰り返すと改善の効果が高まります。

まとめ:今日からKPTを試してみよう

KPT法は、プロジェクトや日々の業務を振り返り、改善へとつなげるためのシンプルかつ効果的なフレームワークです。Keepで良い点を共有し、Problemで課題を明確にし、Tryで新しい挑戦を決めることで、チーム全体の成長につながります。トヨタ発祥の改善手法がベースになっており、世界中で広く活用されている理由は、そのシンプルさと実行しやすさにあります。

忙しい毎日こそ立ち止まり、振り返りの時間を持つことが大切です。ぜひこの記事を参考に、あなたのチームや個人の業務でKPTを取り入れてみてください。継続的な改善を習慣化することで、仕事の質やチームの雰囲気が大きく変わるはずです。