アイデアのヒント オズボーンのチェックリスト

アイデア

アイデア出しが必要な場面は、商品開発やサービス改善などビジネスの随所に存在します。しかし、チームで何度もブレインストーミングを繰り返すうちに思考が煮詰まり、誰からも意見が出なくなってしまう瞬間ありませんか?「アイデアが枯渇した状態」を乗り越える助けになるのが、ブレインストーミングの創始者アレキサンダー・F・オズボーンが考案したフレームワーク「オズボーンのチェックリスト」です。

この記事では、オズボーンのチェックリストの概要と9つの視点、利用手順や具体例を紹介し、さらにオンラインツールやテンプレートの活用法、アイデアを出すときに押さえておきたいポイントまで詳しく解説します。ブレインストーミングに行き詰まったときの打開策としてぜひ活用してください。

オズボーンのチェックリストとは

オズボーンのチェックリストは、ブレインストーミング(ブレスト)を体系化したアレキサンダー・F・オズボーンが1953年に発表した発想法で、後に SCAMPER法 とも呼ばれるようになりました。SCAMPERは「Substitute(代用)」「Combine(結合)」「Adapt(応用)」「Modify(変更)」「Put to other use(転用)」「Eliminate(削除/縮小)」「Reverse(逆転)」の頭文字をとったもので、オズボーンの9つの視点を英語に再整理したものです。

このチェックリストでは、あるテーマに対して9つの問いを投げかけながら発想を広げていきます。何もないところから考えるのではなく視点が用意されているため、初めての人でも取り組みやすく、既存の考えにとらわれないアイデアが出やすくなります

アイデアのひらめき

9つの視点と具体例

オズボーンのチェックリストには、9つの視点からテーマに対して、アイデアを引き出していきます。

9つの視点

1.転用 他に使い道はないのか?改造したらどうなるのか。

既存の製品やサービスをまったく別の用途に転用する発想です。たとえば、音楽プレーヤーのノイズキャンセリング技術をオフィスの防音ブースに応用する、家庭用プロジェクターをカフェのインテリア照明に使うなど、異なる分野に応用することで新しい価値を生み出します。

2.応用 過去のアイデアから応用できないか?他に似たようなものがないのか?

過去のアイデアや他分野の成功事例から応用できないかを考える視点です。たとえば、動画配信サービスの「おすすめ機能」をECサイトのレコメンドに応用したり、ゲームのレベルアップシステムを英語学習アプリのモチベーション向上に取り入れるなどが考えられます。

3.変更 色、形、順序、修正したらどうなるのか?

商品の色や形、並べ方などを変えたらどうなるかを考える視点です。例として、スクエア形状のパンケーキを作ってインスタ映えを狙う、アプリのボタン配置を親指操作しやすい順序に再設計する、といった工夫が挙げられます。

4.拡大 拡大したらどうなるのか?高さ、長さ、堅さを変えたらどうなるのか?

サイズや量を増やすことで新たな魅力が生まれるかを探ります。文庫本サイズしかなかったノートをA4サイズの大きなメモ帳にする、大容量バッテリーを備えたスマートフォンを限定モデルとして販売するなどが好例です。

5.縮小 縮小したらどうなるのか?小型化した場合や軽くしたらどうなるのか?

逆に、小型化・軽量化した場合のメリットを考える視点です。ジューサーをシェイカーサイズにして持ち運べるようにする、ワイヤレスイヤホンの収納ケースをより薄型にするなど、小さくすることでユーザーの使い勝手が向上するケースがあります。

6.代用 代用したらどうなるのか?材料や場所などを変更したらどうなるのか?

別の素材や方法に置き換えることで、新しい市場やユーザー層に訴求できる場合があります。たとえば、牛乳の代わりにオーツミルクを使ったラテを提供する、紙の説明書をQRコード付きのオンラインマニュアルに置き換えるなどがこれに該当します。

7.再編成 アレンジし直したらどうなるのか?要素、成分などを変えたらどうなるのか?

要素や順序を再構成し、アレンジすることで新しい価値が生まれます。レストランのコース料理を前菜→メイン→デザートからデザートビュッフェ形式に変える、サブスクリプションサービスの料金体系を組み合わせプランに変更する、といった工夫が考えられます。

8.逆転 逆にしたらどうなるのか?

当たり前と思っていた順番や内外を逆にしてみる発想です。デパ地下の食品販売で客が自由に試食をしてから商品を決める方式に対し、先に代金を支払いあとで好きな商品を選べるシステムを導入する、プログラミング講座で実践課題から先に学び、その後で理論を教える逆転カリキュラムを採用するなどがあります。

9.結合 他のものと組み合わせたらどうなるのか?

複数のものを組み合わせて新しい価値を提供する視点です。例えば、健康食品とスマートフォンアプリを連携させて食事記録と栄養分析を同時に提供する、カフェとコワーキングスペースを組み合わせて仕事も休憩もできる空間を作るといったアイデアが挙げられます。

オズボーン9つの視点

オズボーンのチェックリスト 例 (新しい○○を考えてみる)

例題として、たこ焼き屋で新商品を開発して売り上げを伸ばしたいと考えたときに

オズボーンのチェックリストを使用した場合の例をあげます。

1.転用  他に使い道はないのか?

ロシアンルーレットゲーム用のたこ焼き(1個激辛)

2.応用  過去のアイデアから応用できないか?

チキンラーメンみたいにお湯かけただけで食べられるたこ焼き

3.変更  色、形、順序、修正したらどうなるのか?

四角サイコロの形のたこ焼き (赤い部分がたこ)

4.拡大  拡大したらどうなるのか?

おにぎりサイズのたこ焼き

5.縮小  縮小したらどうなるのか?

あめ玉サイズのたこ焼き

6.代用  代用したらどうなるのか?

外側に餃子の皮を使ったたこやき

7.再編成 アレンジし直したらどうなるのか?

たこ焼きにタコを使わずにいろいろな具材を入れたたこ焼き

8.逆転  逆にしたらどうなるのか?

タコの中に粉物を入れた、たこ焼き

9.結合  組み合わせたらどうなるのか?

お好み焼きの中にたこ焼きが入っている

このように現実的でないものや不可能とも思えることも、どんどんアイデアをあげていきます。

オズボーンの視点

オズボーンのチェックリストの使い方

オズボーンのチェックリストを効果的に使うには、以下の手順で進めるとスムーズです。

  1. テーマを明確に設定する – まずは考えたい対象や課題を決めます(例:新しいプロダクト、社内制度の改善など)。
  2. 9つの視点を用意する – 本記事のように各視点を紙やツール上に記載し、すぐに参照できるようにします。
  3. 視点ごとにアイデアを出す – 各視点に沿って思いつくことを量産します。このとき質より量が大事であり、他人の意見を否定しないことが重要ですyuworks.blog
  4. アイデアを整理・発展させる – 出てきたアイデアをグループ化し、さらに組み合わせたり優先順位を決めたりしてブラッシュアップします。
  5. 評価・採択を行う – 実現可能性やインパクトの観点から評価し、実行するアイデアを選びます。

オズボーンのチェックリスト テンプレート

オズボーンのチェックリストをみんなで行うときは、書き出しながら行うことがいいでしょう。言葉で行うよりも見えるものがあるとアイデアを出し合いながら楽しんで行うことができます。また、他の人のアイデアを更によくする流れも出来てきます。オンラインで行う場合はグーグルの「スライド」や「Jamboard」を使用するとみんなで編集できるのでスピード感を出して行えます。また、ゴミ等も出ないしデータを共有する意味でもデータで行った方がいいと思います。

もし、ホワイトボードなどで行う場合は紙にタイトルだけ印刷して貼り付箋などでアイデアを書き出していきます。データの保存はスマホなどの写真アプリを使いデータを共有していきましょう。

オズボーンのチェックリストのテンプレートのリンクです。

1ページ目はオンラインで行う場合にスライドなどに変換するようで2ページ目からホワイトボードで行う場合の印刷用です。

その他ツール

  • Miro – ブラウザ上で無限に拡がるキャンバスに付箋や図を貼り付けられ、チームでリアルタイム編集が可能。
  • Notion – ドキュメントにテーブルやボードを埋め込んで情報を一元管理できる。タスク管理とアイデア整理を同時に行える。
  • MURAL – ブレインストーミング向けのテンプレートが豊富で、付箋の色分けやタイマー機能などが備わっている。

オンラインで行う場合は事前にツールを共有し、誰でもアイデアを入力できるように設定しましょう。オフラインで行う場合は、紙にタイトルだけ印刷して付箋でアイデアを書き出す方法もあります。

アイデア出しのコツ

オズボーンのチェックリストを使うときに意識しておきたいのは、 アイデアは質より量 であるということですyuworks.blog。思いついたことをリズムよく出していき、他人のアイデアを否定したり笑ったりしないことが創造的な雰囲気を維持するコツです。また、特定分野の知識が不足しているとアイデアが出にくいことがあります。その場合はテーマの範囲や角度を変えると良いでしょう。

普段から書籍やニュース、他社の取り組みなど幅広い情報に触れて知識を蓄えることも、アイデア発想力を高めるうえで大切です。

大事なこと

まとめ

オズボーンのチェックリストは、ブレインストーミングの停滞を解消する強力なフレームワークです。9つの視点を使ってアイデアを量産し、具体例やテンプレート、オンラインツールを活用することで、チーム全員が楽しく創造性を発揮できます。アイデア出しに行き詰まったときはぜひ本記事のチェックリストを試してみてください。

さらに発想力を鍛える方法として、関連フレームワークの SCAMPER法 や KJ法、 マインドマップ などもあわせて学ぶと、より多角的な視点が身につきます。アイデアは既存の要素の組み合わせです。日々の学習と実践を積み重ねて、革新的なアイデアを生み出しましょう。

アラート